Sui Ishida's Blog, page 2

July 29, 2017

「talk it」

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「talk it」

 
  
大抵のものは失くしてから なくなったことにきづく
 人は、“ある”よりも“ない”に敏感なんだな
 咽喉から空気が抜けるような、短い嘲笑が漏れた
 なあ 馬鹿野郎
  
 
 空虚は鈴なりになって
頭蓋の裏をひとしきり舐める

白塗りの ししむら
ひとつに結んだ唇だけが、やけに紅い
  
褪せたドライフラワー

食卓にならべる
それがあなたの朝食
  
あなたには栄養が必要ない
あたまがとれたから
 
  
ねえ、あなた、愛を教わったことがある?
   
   
 なつかしいことを 指や舌でなぞるたび あなたは硬直する
 死んだ鼠みたいに かちかち
 言葉たちはかんぜんに締め出されて 
 だ から なにも言えずに ただ前を睨み続ける
 お前さん、もっと上手に見栄をはってごらん
 
 
だれかをおもって
泣かない夜がくれば
 
あなたが愛していたこと
知っている
あの子が 彼女が 彼が
 
弱さを見せてもいいのよ
 
 
十分 やったじゃない
 
 
 

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Published on July 29, 2017 10:56

July 16, 2017

to kaho

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ドミノのお告げ https://soundcloud.com/onlyifyoucallme/xutnrhqnptmr

きみの偽物を見た。

六月だった。

デパートの屋上にある小さなメリーゴーラウンド、その隣のベンチで、おおきなクレープを食べていた。雲は妙に粘ついていて、まるで脂肪の膜のようだった。飛んでいた飛行機が絡め取られて、もがきながら落ちていくような気がした。

十月にも見た。

公園の砂場で、蟻の巣をじっと見ていた。ピクニックに向かう幼稚園児たちが、その横を通り過ぎていく。並べられたドミノのように整然と歩きながら、歌を歌っていた。あるこうあるこうわたしはげんき。目を離している間に、偽物はいなくなっていた。例えば楽園があったなら、そこに蟻の巣はあるのだろうか。そこに子供たちはいるのだろうか。

三月の最初の土曜日のことだった。

おおきなおなかで、真っ黒な服を着て、花屋の前にいた。木蓮の花を手に取り、少しだけ匂いを嗅ぐと、すぐに人混みの中へと消えていった。

花屋の前にはもう、なんのしるしも残っていなかった。木蓮の香りだけをかすかに感じた。ぼくは倒れていくドミノのことを思った。

季節は連なって崩れていく。春も夏も秋も冬も、その次の春も、同化して首筋を撫でていく。ぼくは生きているが、それは塗り絵とたいして変わらない。

あれからもう、偽物の姿は見ていない。


(文:高橋國光 絵:いしだ)

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Published on July 16, 2017 09:21

June 9, 2017

高校喰種の登場人物でしょうね。■池袋でしたっけ、喰種カフェ。行った人に話をきくと、よい空間だったようですよ。だれか誘って行ってみよ...



高校喰種の登場人物でしょうね。

池袋でしたっけ、喰種カフェ。

行った人に話をきくと、よい空間だったようですよ。

だれか誘って行ってみようかしら。

べつにドトールでもいいけど。

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Published on June 09, 2017 04:50

April 17, 2017

He kept her waiting.

She kept him waiting in the pool. He lost...



He kept her waiting.

She kept him waiting in the pool.

 He lost OXY. 

She opened up his pipe with a very nice tool. 

He lost OXY. 

They needed to be blessed.

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Published on April 17, 2017 06:12

April 14, 2017

外科室

外科室:

「外科室についての散文」

 
 
 
診察台に横たわるやすらかな顔と、病んだ胴体
ゆきわたる透明な液体
わたしが顔を寄せると 幽かになにかを呟いて
それから、それから、
きみが目覚めることは二度となかった
 
なにかの責任を だれかに押し付ける
年をとった子供たち
 
赦しの乞食
赦しの乞食たち
神様になったわたし
神様になったわたしたち
 
心は揺れるけど
けして振り子のようには同じ軌道をなぞれなくて
ただ転り続ける
わたしの知らないところまで
 

 
乳歯が抜け落ちたとき
はじめて死を感じた
ずっとずっと幼いとき
わたしがなくなるのを感じた
 
歯は、最後までなにも言わずに
手のひらで横たわっていた
あれはあなただった
 
棒にかかった布きれが風でとばされていくみたいに
どこか高いところへ あるいは泥濘にまみれて
わたしも動かなくなるのでしょうか
 

 
これからは
簡単に壊れるものだけを愛しましょう
こわがらなくて済むから
 
神様は
高いところじゃなくて
ずっと深いところに住んでいる
海の、沼の、泥の、くらやみの、底。
そこで死にかけてる。
 
 
わたしが味わう感情はひとつでいい
たったひとつ あればいいよ
こわいから
 
 
 

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Published on April 14, 2017 23:54

ぶたないで 父さん



ぶたないで 父さん

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Published on April 14, 2017 09:05

April 13, 2017

どこにいるの?窓のそばにいるよ何をしてるの?何にもしてないよ

おなじ話/ハンバート ハンバート



どこにいるの?窓のそばにいるよ
何をしてるの?何にもしてないよ



おなじ話/ハンバート ハンバート


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Published on April 13, 2017 08:49

November 23, 2016

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Published on November 23, 2016 11:23

October 25, 2016

(1) 審判のさいご すべての嘘は暴かれすべての罪は裁かれる 失望したものはまず怒り、怒るのに飽きたら殺そうとする 贖罪のために殺...



(1)

 
審判のさいご
 
すべての嘘は暴かれ
すべての罪は裁かれる
 
失望したものはまず怒り、
怒るのに飽きたら殺そうとする
 
贖罪のために殺人を辞さない神
に、そっくりなあなたがた
 
つぎこそ、イチジクの葉一枚
身を隠すすべをなにひとつ残さないで
 
鮮やかなまでにそれを完遂する
 
血を流す一瞬だけ あなたはやさしく笑う
 
 
(2)
 
箱舟は棺のように揺れる
 
「かわいいひとは目に入れても大丈夫!」
そして失明した
 
神は失った視力のために憤慨する
 
あなたの独善のために
何人が血を流し
何人が海のなかで窒息したのでしょうか
 
ビルは海に浮かぶ墓標
ぎしぎしと、歪む地盤は
ある日、あっけなくぽきりと折れる
 
それはあなたがつまらない数字を眼球で舐めるころ
それはあなたが愛するだれかと手足をかさねるころ
それはあなたがつかれて眠りにつくころ
 
本当に突然、起こる
 
また海に沈むのだ
 
人はかならず負ける
 
 
我々のゆるやかな水葬
 
知った人がみな死ぬので、
枯れるほど泣いて
 
ほどなく、みな塩の柱になった
そしてやはり海に溶けていった
 
 
(3)
 
 
僕の知ってるうちに世界が終わればいい
 
ゆりかごは揺れて自壊した
海は塩で満たされて枯れた
喉に穴があいて すべての血液が歌いだす
 
あなたはもはや、笑いが止まらなくなる
 
 
 
世界が終わるとき最後の一人は、きっと悪人だと思う
 
  
 
 
 
(了)

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Published on October 25, 2016 08:00

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